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丸尾選挙(県政)報告会について
2025-03-28


意見書
                                 弁護士     
1 主位的主張(構成要件該当性の欠如)
丸尾氏が一昨年の県議会議員選挙後に行った4月23日県政(選挙)報告会について、下記の法律に違反するとの指摘があります。
公職選挙法第178条第1項第1号では、挨拶する目的をもって、選挙人に対して個別訪問することや、当選祝賀会やその他の集会を開催することが禁じられています。またこれを受け、同法第245条は「第178条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。」と規定しています。それに該当するのではとの指摘です。
この点、公職選挙法第178条第1項の立法趣旨は、挨拶行為を制限し、お金のかからない選挙を目指すことと、期日後の挨拶行為が事後買収の温床となりやすいという点にあります。
一方、民主主義が機能するためには、有権者の知る権利(憲法第21条1項が保障する表現の自由の一環として保障されています。)が充足されなければなりません。知る権利を実現する観点からは、国会議員・都道府県会議員・市区町村会議員が有権者に対し、国政や地方政治に関する報告を行うことは、むしろ憲法尊重擁護義務(憲法第99条)の一環としての義務にあたります。とりわけ、公職選挙法第178条1項5号の「当選祝賀会その他の集会」を拡張解釈して、「挨拶する目的」を伴わない県政集会まで禁止されるなどと解することは、集会の自由(憲法第21条1項)を保障した日本国憲法の下ではおよそ許されるものではありません。
以上より、公職選挙法第178条が禁じる祝賀会やその他の集会とは、あくまでも挨拶を目的とした集会に限定されます。
この点、丸尾氏の集会は、@表題が「選挙報告会」ないし「県政報告会」であり、A行った活動も丸尾氏が取り組んでいる情報公開、人権擁護、地域経済活性化、福祉社会構築といった県政課題の報告が多くを占めていますので、「挨拶する目的」でなされた当選祝賀会に該当しないことは明白です。
なお、参考までに、公職選挙法第178条第2号が禁じる、事務所への当選御礼の張り紙はよく見かけるところですが、法的に疑問が残ることから、丸尾氏は一切そういうことは行っていません。また、この集会において提供された飲食物には、参加者は参加費を払っています。


2 予備的主張(可罰的違法性の欠如)
 また、万が一、集会の一部で挨拶をした程度で挨拶目的があったとしても(そのような解釈運用が憲法21条に抵触することは前述の通り)、そのような集会の開催は、名称は別として、ほぼ全ての当選者が開催している実態があると思われます。
選挙管理委員会による当選が発表された時に、陣営が呼びかけて支援者等が集まる場合や、人々が自然に集まる場合がありますが、いずれにせよ、そこで、候補者が挨拶した時点で、挨拶を目的とした集会が開催されたと解釈するのが不合理であることは「1」で述べた通りです。少なくとも可罰的違法性は欠如していると思われます。
FB等で確認したところ、上記のような、選挙に近接して開催される集会は、以下の3種類があるようです。@当選報告会、選挙報告会と称し、当選発表後、報告会を開催する場合(名称をつけない場合あり)。A後日、選挙報告会という名称で、報告会を開催する場合。B後日、市政・県政報告会などと称し、開催する場合。なおAとBは、4年間の政策、取り組み方針の発表、会場からの意見の聞き取りなど、類似の内容になっているものと考えられます。

以上の状況を考えた時に、挨拶目的かどうか線引きは非常に難しく、政策などを含めた報告がされていれば、挨拶目的と解するのは困難と思われます。単に選挙結果とお礼を述べる場であったのみ、法に規定する挨拶目的の会合と見做すのが、憲法21条に適合する解釈です。仮に丸尾氏のような行為(詳細は「1」)が「挨拶目的」とされたとしても、この程度の行為では可罰的違法性を欠くのは明らかといえます。


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